平成の大政翼賛会

パート10 金融派生商品の問題点

引用

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%83%AA%E3%83%90%E3%83%86%E3
%82%A3%E3%83%96%E5%8F%96%E5%BC%95

デリバティブ

デリバティブとは、基礎となる商品(原資産)の変数の値(市場価値あるいは指標)によって、相対的にその価値が定められるような金融商品をいう。

デ リバティブ取引は、債券や証券(株式や船荷証券、不動産担保証券など)、実物商品や諸権利などの取扱いをおこなう当業者が、実物の将来にわたる価格変動を 回避(ヘッジ)するためにおこなう契約の一種であり、原資産の一定%を証拠金として供託することで、一定幅の価格変動リスクを、他の当業者や当業者以外の 市場参加者に譲渡する保険(リスクヘッジ)契約の一種である。

引用終わり

日本語ウィキペディアと異なり、英語ウィキペディアはもっと明快な説明をしている。

引用

http://en.wikipedia.org/wiki/Derivative_(finance)

A derivative instrument is a contract between two parties that specifies conditions (especially the dates, resulting values of the underlying variables, and notional amounts) under which payments are to be made between the parties.

デリバティブとは日付、原資産の最終価値、量などを決めた上で、二人の当事者間での支払い条件を定めた契約である。

http://en.wikipedia.org/wiki/Futures_contract

Futures contract

In finance, a futures contract is a standardized contract between two parties to buy or sell a specified asset of standardized quantity and quality for a price agreed today (the futures price or strike price) with delivery and payment occurring at a specified future date, the delivery date.

先物は将来の特定日に今日、合意された価格で、規格化された特定資産を売買するという契約である。

http://en.wikipedia.org/wiki/Option_(finance)

In finance, an option is a derivative financial instrument that specifies a contract between two parties for a future transaction on an asset at a reference price (the strike).

金融においてオプションとは、資産を参照価格において将来、取引することを二人の当事者間で契約し規定した金融派生商品である


引用終わり

英語ウィキペディアが日本語ウィキペディアと大きく異なる点は、デリバティブ、先物、オプションの3つの項目の頭で契約(contract)であると説明している部分だ。

金融派生商品(デリバティブ)とは何か?

お 金がからむ契約である。保険証書と言っても良い。保険証書を見てみると良い。どういう場合にお金が支払われ、どういう場合は免責になるか細かい文字で書か れている。当然だが、金融派生商品も契約なのだから、何時、どのような条件で、お金が支払われるかが明確に提示されるべきだ。そして金融派生商品の初期に おいては実際に提示されていた。

BS式が正しいかどうかは別にして、初期のデリバティブである株式や指数の先物/オプションにおいては契 約内容が詳細に定められ公開されていた。今のデリバティブ、例えばCDSにおいては契約内容が曖昧で、どういう取引が為されているか公開されない。実際に CDSを取引されているディーラーの方が興味深い文章を書いている。

http://blog.livedoor.jp/rsb30/archives/3283876.html

クレジットデリバティブ入門

最近、景気サイクルと信用スプレッドの話をツイッターで読んだので、一般的な話はマクロ専門の方に任せるとして、たいした内容ではないが、クレジット派生商品であり(ぼくがやってる)クレジットデフォルトスワップ(CDS)のスプレッドの話を少し書こうと思う。

簡単に信用スプレッド(クレジットスプレッド)っていうのを説明しとくと、企業がお金を借りるローン、あるいは債券を発行するにあたって支払うベンチマークプラスαの上乗せ金利こと。

例 えば、トヨタさんが10y満期の社債を発行して、資金調達をしようとすると、まぁざっくり10年国債+10ー15bp くらいの上乗せ金利を支払うことになるだろう。つまり、ベンチマーク金利の国債よりも、多めの利息を信用コストとして投資家さんが要求していることにな る。

この実際に発行される債券を我々は現物債とかキャッシュとかっていったりします。

で、このスプレッドは実際にどのように決まるかというと、そのときのクレジットサイクル、発行体格付け、エクスポージャー、余資の懐具合や年限なんかで決まる。

で、ここからが派生商品であるCDSの話。

(ちなみに、ここでいうプレミアムというのはスプレッドと同じようなものだが、スプレッドと呼ばず、プレミアムといいます。というのも、CDSはデフォルトペイオフを等価交換する契約なので、デフォルトオプションなのです。ここでは、円建てのCDSを前提に話をします。)

さて、じゃあ、CDSのプレミアムって、現物債のスプレッドと全然違う水準(例えば、トヨタの円建て5年物は58ー61bp くらいの水準で取引されている。)なんでそんな水準でトレードされてるんでしょう?って疑問に思いませんか?

派生商品でしょ?

現物債のスプレッドなんて、ほとんど関係ないですよ。この商品は。

水準は、原資産をベースに考えるというよりは、リスク資産全体のバランスで決まっていると思ってます。

はっきりいって、日本でも数銘柄をのぞいて、派生商品といいつつ、原資産から独立しているといっても過言ではありません。

じゃあ、誰がメインで、その水準自体を動かす要因って何?

と 聞かれれば、ぼくは、やってるのは外人とぼくらみたいなCDSディーラーが中心で、水準自体が原資産とは独立しているので数値自体に大きな意味はない。水 準を動かす要因として大きいのは株、ボラ、CDS自体の需給。最近だと、クレジットのテーマがソブリンになっているので、ソブリンと為替のボラ。

と答えます。

(最後に個別銘柄のCDSと現物債が連動するヘッジオペレーション的な側面を少し書きます。)

@株とCDSの関係

株式って、トレンドががらっと変わると、買い過ぎだろう!と思われるほど、外人さんがフローを入れて買い上げる時ありますよね?逆に売られ過ぎだろ!って時もありますよね。

基本的にそれと同じで、センチメントって大きな決定要因なんです。リスクセンチメントで、CDSもリスクテイクがなされることが多いんです。逆に、リスク回避が発生すると、社債だと売るしかないリスクショートがCDSでは簡単にできるんです。

株のチャートとは見た感じ一致しませんが、トレンドやトレンドの転換点はほぼ同じ、相関も高いです。

で、これが、パリバが昔日経にコメント出してる時のもの。

水準を指数化して、相関関係を示した図。

よくまとまってて、すばらしいと思います。

出所:日経

http://markets.nikkei.co.jp/features/27.aspx?id=MMMAzc011002082010

引用終わり

引用

http://ameblo.jp/wallstreet/theme4-10000187278.html

<1>Credit Default Swap (CDS)

[仕組み]

CDSの売り手は、原資産債券がデフォルトした場合にロスを肩代わりするかわりに、定期的にプレミアムを受け取る。(一種の保険)

想 定元本はスワップ設定時のマーケットバリュー。決済はCash SettlementもしくはPhysical Delivary。Cash Settlementでは想定元本とデフォルト後のマーケットバリューの差額をSwapの売り手が買い手に支払う。Physical Settlementでは、債券保有者がSwapの売り手にその債券を受け渡し、想定元本を受け取る。

[動機]

売り手:債券を実際購入せずとも、エクスポージャーを得られる。定期的なプレミアム収入。

買い手:債券現物を売れないような状況でも、CDSを購入することでその債券のデフォルトリスクを回避することが出来る。CDSはOTC契約のため、貸し手(債券発行者)に知られることなく、クレジットリスクを除去できる。

引用終わり


ここで身近な金融派生商品である日経平均先物・オプションとCDSを比較して見る:(以降、指数とCDSと呼ぶ)

原資産

指数         日経平均(225現物株からなる指数)
CDS        無し(現役ディーラーはそう主張している)

レバレッジ

指数    30倍程度(日により変わるが算出可能)
CDS    不明

満期

指数    1ヶ月/3ヶ月
CDS    不明((債務不履行がおきた時)

価格

指数    基本的に原資産である日経平均に連動
CDS    上のディーラーの文章が正しければ、別に日本国債あるいは社債と連動している訳ではない。センチメントで売買されている。
 
今の金融派生商品には契約条件が曖昧になっているものが多い。その代表格がCDSだ。

つまりCDSはもはや契約では無いのだ。

も し、契約であるならギリシャにおいてCDS支払いがとっくの昔に行われているべきだ。ところがCDSにおいて支払い条件は「契約当該国が債務不履行をおこ した場合」としか書かれてない。この債務不履行が、もし具体的に「インフレ率に関係なくギリシャ国債10年物利回りが8%をこえた時、支払うものとする」 と定められていれば、ギリシャやスペインの問題はすでに終わっているはずだ。

さらにCDSは市場取引ではなくOTC取引だ。これが事態を不透明にしている。

引用

http://www.ifinance.ne.jp/glossary/market/mar211.html

OTC取引
読み方: おーてぃーしーとりひき
英語名: Over The Counter Transaction
分類: マーケット|取引

OTC 取引は、取引所取引と異なり、売手・買手が相対で取引を行うものをいう。これは、証券会社や銀行などの金融機関等の店頭カウンター(counter)越し (over)に取引を行うことに由来し、金融商品においては、非上場株式の取引、公社債の取引、外国為替証拠金取引、CFD取引などの相対売買で使われる 用語である。また、相対売買とは、国語辞書では「売り手と買い手が仲介者を入れず、双方の合意によって価格・数量・決済方法などを決めて取引し、売買契約 を締結する方法」のことをいう。

ちなみに、外国為替証拠金取引(FX)には「OTC取引」と「取引所取引」の二つがあり、OTC取引では取扱い業者(金融機関等)によって、その取引(商品)内容が大きく異なっている

引用終わり

つまりAという金融機関とBという金融機関の間で、市場を介さずCDSの値段を決め売買しているのだ。発表されているCDSの値は業者が、金融機関から聞き取りをしたもので、正確で正直な申告であるか保証が無い。

金融派生商品としてCDSはあまりに不透明だ。

つまり私が金融派生商品であるCDSに対して持つ不満は「やり方が基本的に契約ではない」というものだ。

CDSは保険商品であると多くの人が説明している。だが、いつ保険金を受け取れるか分からないような保険は本当に保険だろうか?下のロイター記事を参照していただきたい。

(契約に成っていない金融派生商品が増えたということは世界経済が口約束で信用拡大を続けてきたということだ。一端、「口約束は信じられない」という考えが広まると、大きな信用収縮をおこす。普通に考えて今の世界経済は非常に大きなレバレッジで維持されているのだろう)

参考

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE82801720120310

ギリシャ債務交換のCAC発動、信用事由に該当と認定=ISDA
2012年 03月 10日 09:41 JST 

[ニュー ヨーク 9日 ロイター] 国際スワップデリバティブ協会(ISDA)は9日、ギリシャ債務交換における集団行動条項(CAC)発動はクレジットイベント (信用事由)に該当すると認定し、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の支払いが発生するとの判断を示した。決定は全会一致。清算価格は19日に 入札方式で決定される。

これに先立ちギリシャ財務省は、債務交換の参加率が85.8%になったと発表。政府はCACを発動する意向を表明していた。CACが適用された場合、全体の参加率は95.7%に達するとみられている。

今回の信用事由認定に伴い、純ベースで最大31億6000万ドル相当が支払い対象となる可能性がある。ただ債券保有者が元本を全額毀損(きそん)するわけではないことから、実際額は低くなる公算で、今後数週間かかるとみられる手続きを通じて決定される予定。

クレジットイベントの認定は広く予想されていたことから、市場の反応は限られた。ユーロは対ドルで小幅下落したほか、米債価格は下げを縮小した。

ギリシャのベニゼロス財務相はこの日、CDSの発動をめぐるISDAの判断を懸念していないとの考えを示していた。

同相は議会で「CDSが発動されたとしても、われわれは懸念していない。世界的に問題となる額はネットで50億(ユーロ)以内だ」とし、「ギリシャおよび欧州全体の経済にとり、極めてわずかな額にすぎない」と述べた。

引用終わり