新聞と出版の罠
2012.07.19

自費出版について調べていて下のブログ記事を偶然、読んだ。

引用

http://blog.livedoor.jp/saihan/archives/51227332.html

2008年01月15日22:49

新風舎倒産で問われる朝日・読売の“自費出版詐欺”加担責任←平成18年10月7日

朝日新聞be on Saturday「フロントランナー」
(文・及川智洋、写真・高橋洋)

<新風舎>民事再生法の適用申請へ…自費出版大手(1/7 毎日)

自 費出版大手の出版社「新風舎」(松崎義行社長、東京都港区)が事実上倒産したことが分かった。7日午後、東京地裁に民事再生法の適用を申請する。負債額は 約20億円で、関連会社の新風ホールディングスを含めると約25億円。新風舎によると、印刷会社の支援が既に決まっているといい、現在出版契約をしている 約1100人の書籍制作を含め事業を継続しながら再建を進めていく。債権者向け説明会は9日に開く。

同社が昨年末、債権者に送った文書に よると、一部マスコミ報道による批判などから売り上げが急落し、債務支払いが滞ったという。同社は昨年7月、絵本や自伝を出版した複数の著者から「書店に 並べて宣伝、販売するという契約と異なり、わずかな冊数しか店頭に並ばなかった」として提訴されている。

中略

ネットでは早くから問題になっていたようです。写真家・藤原新也氏のブログより。

新風舎の倒産に関しての私的見解(1/8)

当 出版社はひろく一般人から多くの金を集め、やがて出版界においても出版点数においては講談社を抜き、トップに立つ勢いがその時点であった。このことは何を 意味するかというと情報の占有化が進むということだ。当社は大手新聞雑誌などに多大な広告を出稿し、一方的なプラスイメージを一般に植え付け、さらにその 広告出稿によって大手マスコミにも口封じができる立場に立ったのである。

一例として朝日新聞 などはbe on Saturday「フロントランナー」という紙面で、自費出版ブームを作った詩人経営者新風舎社長松崎義行さん41歳(2006年10月7日)という大々 的なインタビューを行っている。私のサイトの投稿者も実際にその記事によって新風舎に信頼感を抱き、迷っていた当社の企画に乗ったという方も何人かおられ た。こういった金を動かすことのできる者が情報を占有するという今日的情報化社会の不健全な状況を少しでも改善すべきだという思いが、ブログで何日にも 渡って被害者の実話を取り上げた真意である。

ちなみに私はこの件に関し朝日新聞の一編集委員に電話で忠告をするとともに、なぜこういう記事ができるのかそのメカニズムを知りたいとの注文を出したが満足の得られる回答はなされなかった。

引用終わり

私も上の自費出版社の例は詐欺だと思うし朝日や読売を擁護するつもりは別にない。だが、上のブログ主は業界の事情をあまりご存じないようだ。その部分は補いたいと思う。

過 去の文章で「何故、読書週間が秋に設定されているか?」というテーマで文章を書いた。答えは「秋は季候も良く食べ物も美味しいので本を読む人が減る。実際 に売り上げが落ちる。その対策として秋に読書週間が設けられた」と解説した。実際に出版業界の人がそう説明したので恐らく正しいのだろう。

さ て、ここで日曜版が何故、存在するかを考えてみよう。外国の新聞はともかくとして日本の新聞が日曜日を特別視する理由が無い。ここでの答えは「日曜日の朝 刊はあまり読まれない。広告に反応する読者も少ない。それを補うために日曜日に別刷りの形でたくさん記事を入れることにした。それが日曜版である」と言う ものだ。

朝日新聞のbe on Satrudayという企画がどういう理由で始まったのか知らないのだが、普通に考えて読者が土曜日の新聞を読まなくなった対策だと思う。つまり、日曜版(sunday supplement)に対する土曜版である。

新 聞記事において色がたくさん使われている部分は基本的に埋め草である。何故なら、そうした読者サービス紙面に、編集局は本気の記事を入れたくない、広告局 は募集しても広告が集まらないからだ。一番、簡単なのは多色印刷をして豪華紙面を作ることだ。見た目だけはにぎやかになる。業界用語では色物と言う。

あまり知られてない話だが、新聞社内部では日曜版を廃止する案が何回も出された。だが販売局が「読者が離れる」と反対したために未だに廃止できてないというのが実態なのだ。

従って、日曜版や「土曜版」のように編集局も広告局もやる気がない別刷りは記事も広告もお粗末だ。当然ながら「間違い」もあるだろう。

新風舎倒産報道を擁護するつもりは無いのだが、新聞紙面には力を入れてる部分とシブシブやってる部分があるくらいは知っていても損はないだろう。

なお被害を受けた方々が正当な補償を受けられるべきと私も考えます。