髪の毛に関する奇妙で小さな考察
2012.08.19

今日、偶然に「おかあさんにずっと若くあってほしい」という女性用カツラのCMを見た。私はこういうCMを英語圏で見たことが無い。そうした部分から書いてみたい。

何故、欧米圏ではカツラのCMが少ないのか?

1.白人の場合、髪の毛の色が微妙に違う。従ってカツラを作成するのが難しい

2.日本人の場合、色は黒で直毛なので、似たような髪の毛を提供する人がいる

3.大体、北欧圏の人間がカツラを作ろうと考えた時、誰が彼らの髪色や髪質に似た「素材」を提供するのか?同じ北欧圏の人間しかいない。

4.日本で販売されているカツラの髪を提供しているのはインドや中国の女性だと言われている。この場合、数億人の潜在的な毛髪提供者がいる

ここでの私の最大の疑問は「インド人女性から髪の毛を買うなら日本国内で調達することを何故、考えないのか?」である。

(ここで私は日本人向けカツラの髪の毛を提供しているのは主としてインド人女性であると決めつけている。その理由はあるのだが、新聞社広告営業だった自分の職業倫理とも関係してくるので説明はしない)

それは結局、人間の体の一部を売買することが倫理的に微妙な問題だからだ。日本人女性あるいは若い男性から髪の毛を買った場合、歯止めがきかない。少なくとも臓器を売って借金を返済するという一部風潮が抑制できないことは容易に想像ができる。

みんな、そうした潜在的な問題を理解している。従ってカツラ製造業者も広告代理店も新聞社もTVも誰が日本人向けに毛髪を提供しているのか、ほとんど触れない。触れないという暗黙の合意ができている。

日本のカツラ産業は新聞やTVに多く広告を出している。だがカツラ産業自体が、非常に東アジア的な産業なのだ:

1.とりあえず見た感じが同じような毛髪を持つ人々が東アジアから南アジアにかけて数十億人いる

2.過去において、日本と他のアジア諸国の所得格差が大きかった

3.従って、専属契約した「外国人」から髪の毛を提供してもらうという贅沢が可能だった

4.これはアジア圏だから可能なのであり北欧では不可能だ

5.何故、北欧では不可能かというと、似たような毛髪を持っている人が最初から少ないからだ

私の推測では実生活でカツラを装着している人の割合で見ると日本は世界トップでは無いかと思う。奇妙な事に、誰もカツラ大国日本が可能なのは東アジア的特性があるからだとは説明しない。

私が知らないだけだろうか?