奇妙に歪んだ病気への偏見
2013.03.25

引用

http://www.asahi.com/national/update/0324/OSK201303240173.html

【高 木智子】大島の青松園にまた足を運んでください――。俳優の吉永小百合さんが24日、香川県のハンセン病療養所であった映画の上映会の席で、こう呼びかけ た。塔和子さん(83)の詩を朗読した縁で、島との交流が生まれて10年。新たな縁を願い、島内外の人たちを招いた。

瀬戸内海の療養所「大島青松園」で、吉永さん主演の映画「北のカナリアたち」の上映会があった。

入所者のほかに、島の外に暮らす100人が招待された。映画を見るためにきた人たちが島の歴史にも触れ、縁がうまれたら。そんな思いで吉永さんが企画し、実現させた。

引用終わり

上の記事を読んで私は奇妙な印象を持った。それは何か?

「ハンセン病(ライ病)は日本では絶滅したのではないのか?」

である。実際に、2007年以降、日本人の新規患者は出ていない。新規患者は全て外国で感染した人々だ。

ソース

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%B3%E7%97%85

ハンセン病(ハンセンびょう、Hansen's disease)は、抗酸菌の一種であるらい菌(Mycobacterium leprae)の皮膚のマクロファージ内寄生および末梢神経細胞内寄生によって引き起こされる感染症である。

病名は1873年にらい菌を発見したノルウェー人医師アルマウェル・ハンセンの姓に由来する。かつては「癩(らい)」、「癩病」[注釈 1]とも呼ばれていたが、この名称は差別的と感じる人が多いために[1]、歴史的文脈以外では、一般的に避けられている。

感 染はらい菌の経鼻・経気道的による感染経路が主流であるが、伝染力は非常に低い。治療法が確立しており、重篤な後遺症を残すことも自らが感染源になること もない。2007年の統計では世界のハンセン病新規患者数は年間約25万人であるが、日本人新規患者数は年間0から1人と稀になった。適切な治療を受けな い場合は皮膚に重度の病変が生じることがあるため、患者は古くから差別の対象となってきた。

引用終わり

このwiki文章 を読んでもらえばわかるが、日本人に関する限りハンセン病は完璧に終わった病気である。この病気の心配をするくらいなら、中国から偏西風で飛んでくる物質 の心配をしたほうが良い。だが、日本という国においては、まだ新規患者が発生している。何故なら、外国ではまだ根絶されてないからだ。

最初に出した朝日新聞記事に違和感を持つのも、そこである。日本人に関する限り、ハンセン病は終わったのだ。だが、国際交流の中で新規患者が見つかっている。その部分の指摘が全く無い。

こ こで私が思い出すのは20年前にBMR(ブラック・ミュージック・レビュー)で読んだ小さな記事である。その記事のなかで、かつてはキンシャサでも名人と して知られたコンゴ人ギタリストが、当時、生活していたパリで奇妙な病気にかかり、顔の肉がこぼれおちて死亡したと書かれていた。その時は意味がわからな かったが、この人はハンセン病で死んだのだろう。

1980年代、アフリカの情報は非常に限られていた。コンゴの首都キンシャサに行こうと考えるのは、我々のような音楽ファンを除けば、お金を目当てにしていた。露骨に言えばアフリカ手当が出るのだ。新聞記者と外交官に関するかぎり、こういう手当が出ていた。

当時、エイズは不治の病であり、罹患すれば必ず死んだ。キンシャサはエイズだけでなくエボラやマラリア、訳のわからない寄生虫の宝庫だった。当然ながら誰も、そうした土地に行きたくない。行った日本人はアフリカ手当を受けることを目当てに行ったのだ。

今はハンセン病もエイズも治る病気になった。これは大変な進歩だ。だが朝日新聞の記事を読んでると、そうした背景がわからず、ひたすら情緒的に吉永小百合氏の美談にしたてている。そこがおかしいと私は考える。

ちなみに新聞記者はヘリコプターに乗ればヘリ手当、セスナに乗ればセスナ手当が出る。つまり、不安をお金で押さえている部分が明確にある。究極はアフリカ手当だろう。