ブルースの魅力は何か?
2013.05.11

大体のブルースでは怒りは自分自身に向けられている。環境に対応できない自分に怒りを持つ。持ったところで何も改善しない。従ってブルースは西欧音楽とは異なり、必ずしも解決を見いだすことができない。

ここらのブルースという音楽が持つ自虐的な部分がアメリカという土地においてもブルースが支持されなかった理由だろう。ところでブルースにおいて必ず感情が反転する:

オレはダメだ、女は逃げた、職はない、生きる希望が無い

と歌いながら

生きてれば何か良いことがあるだろう

と明るい方向に気持ちが反転する。ここがブルースという音楽の素晴らしさではないかと思う。逆に、明るい曲の場合、ふっと陰りを見せる。

日本の近代音楽を代表するものに演歌がある。だが私個人として、このジャンルが好きになれない:

1.演歌は「つらい、苦しい」と恨むばかりで気持ちが明るく反転する部分がない

2.逆に明るい演歌はただの「人生応援歌」であり、生活にたえず現れる不安感が陰りとして表れることがない。

つまりブルースという音楽/音楽形式は暗く陰っているのだが、その陰りのなかに一瞬、陽転して全てを笑い飛ばすような生命力を持っている。今のロックやジャズはブルースを必ずしも基礎としてないが1970年頃は基礎としていた。

その理由を自分なりに考える時、「ブルースは陰りと陽気さのコントラストが素敵だ」と思う。

今は違うにせよ、かつてはブルースがジャズやロックの基礎だった。何故、ブルースが基礎となったのか?この音楽形式は影と陽光の対照が素敵だったと私は思うのだ。